日本財団 図書館


 

レーダの製造比率は原油の価格に左右されるが、現在の原油価格高騰により海底油田の開発が盛んになった結果、それらの比率は半々とのことであった。写真13は社内でデモンストレーション用のマニピュレータを操作するニシカワ氏で、約110kg重の荷物を持ち上げる能力を持つ。このマニュピレータはTitan IIIというチタン合金を使用した製品で、使用目的によって水中と原子力の用途に区分される。「しんかい6500」には、Titan IIIを6500mの圧力で耐えるように改良した製品を搭載している。デモンストレーション用のマニュピレータは、モーメントに耐えるように床面にボルトで頑強に取り付けられていた。見学者が多いためだと思うが、工場内にデモンストレーション用の区画を持つことは、それだけ引き合いが多いことを示しているのだろうか。
3.3.2 技術開発
同社は水中でのマニピュレータの研究開発に非常に熱心で、無人潜水機や有人潜水船に搭載できる製品を開発してきた。無人潜水機では、水中構造物の検査や補修を目的に搭載することが多いようである。また、有人潜水船ではアルビンやシークリフなどが同社のマニピュレータを搭載した。ウッズホール海洋研究所のアルビンには1987年、米国海軍のシークリフには1988年にTITAN 7Fを搭載したことから、水中の高圧力下で作動するマニピュレータの技術を10年前に持っていたと言えるだろう。
また、コストダウンを図るため、部品を規格化し大量生産に適した設計を行うと同時にアルミ合金の鋳造部品を利用し、切削加工を少なくした製品を製造している。写真14は鋳造部品を使った製品で、油田関連の無人潜水機用に販売数が伸びているそうである。マニピュレータ本体の開発のみでなく、制御ソフトウェアの開発も行っているとのことである。一列として無人探査機では、オペレータがテレビカメラで撮影された水中の映像をもとにマニュピレータの作業を行う。オペレータにとって、1台のモニタに映される映像をもとに、つかもうとする物体までの距離を正確に判断するのは難しい。そこで、コンピュータを利用してオペレータがマニピュレータから物体までの距離感をつかみやすくできるシステムを開発しているとのことであった。マニピュレータの動きをコンピュータ

 

019-1.gif

写真14 製造コストを抑えた製品

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION